シャトル、君との出会いは偶然だった
あの日の体育館は、いつもと少し違った。いつもの練習の合間、ふと足元に転がってきたシャトル。いつもなら当たり前のように拾って、ラケットで打ち返す。でも、その日は違ったんだ。 それは、たまたま見慣れない色をしたシャトルだった。普段使っているものとは少しだけ違う、鮮やかな青。思わず手に取ってみると、意外とずっしりとした重みを感じた。いつもなら気にも留めない、ただの消耗品。でも、その青いシャトルは、なんだか特別に見えたんだ。 「あれ、このシャトル珍しいね」 隣で練習していた先輩が声をかけてきた。そうか、自分だけじゃなかったんだ。そのシャトルは、いつもと違う刺激を与えてくれた。普段の練習メニューも、なんだか新鮮に思えてくる。いつもは淡々とこなしていたノックも、この青いシャトルを相手にすると、いつもより真剣に、そして楽しくなった。 普段なら「相手」でしかないシャトルが、その日は「仲間」のように感じられた。一緒にコートを駆け回り、風を切って飛んでいく。それは、まるで言葉を交わさなくても通じ合える、そんな感覚だった。 結局、その青いシャトルはあっという間に寿命を迎え、いつもの白いシャトルの中に紛れてしまった。でも、あの日の感覚は、今でも鮮明に覚えている。バドミントンって、道具一つでこんなにも気分が変わるんだな、と。そして、ちょっとした出会いが、日々の練習に新しい風を運んでくれるんだな、と。 これからも、どんなシャトルと、どんな出会いがあるのか。ちょっとだけ、楽しみになってきた。
