第45回 活動報告

あおぞらの輪
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【活動報告】第45回 あおぞらの輪

 今日はいつもと違う場所.戦災復興記念館の5階にある和室.中庭の7割くらいの力で手入れされた木々たちがなんか良さげで.ほんのちょっとだけ旅館にいるみたいな気持ちだった.

 先日のZINEフェスがあまりにも印象深かったので,会の導入部で紹介させてもらった.フェスの会場では,出店者それぞれの個性がちゃんと尊重されながら,同じ空間を共有している.「ちがいながら,いっしょにいる」この距離感が,なんとも絶妙だった.

 それぞれがしっかりとした(あるいはぼんやりとした?)表現を持ち寄りながらも,お互いが否定し合うことも食い合うこともない.むしろ,互いが互いの色を面白がっている節さえある.

・「青髪」に染めたひとのZINE

・故郷「気仙沼」の日常を切り貼りしたZINE

・自分の「性」のマイノリティをエッセイ調にしたZINE

・「今日の朝」作ったZINE

・ただひたすら「サウナ」について綴ったZINE

・世界各地の「市場」のみを並べたZINE

・手作りの「しおり?」だけを売っているひと

・「文豪」の名言をおみくじにしたひと

 …こんな調子である.空気を読んでるひとは,あまりいなそう.全く違うテーマの2人が同じ大きさのテーブルに並んでいるのが,なんだかおかしかった.中にはめっちゃ「変」なZINEもあったけど笑.あの場では,その「変」すら,フェス全体の魅力を引き上げる一旦を担っていた.



「ZINEフェス」では,出店者の座席やZINEを並べる机が,「ちがいながら,いっしょにいる」ための重要なファクターとなっていた.「あおぞらの輪」では,各人の発表に与えられた時間が,その役割を担っている.マインドマップ作成した後,グループ内で紹介するための5分.そして,同じグループでおすすめの本を紹介するための15分.この時間は,各人が好きにデザインできる時間.人を故意に傷つけたりしなければ,表現方法は何でも構わない.例えば今回の本紹介の時間でも,

・自分が日頃から感じている問題意識から本を語るひと

・しっかりとした自分の主張をもって,整然と表現するひと

・何度も読み返した本を,A4一枚わかりやすいイラスト付きでまとめているひと

・そして,本文を精密に要約したものをまとめてくるひと

・パソコンを見せながらハイスペックな紹介を展開されるひと

・気になる作品を机に並べ,他の人にどう感じたのかを聴いているひと

・日常的な話題から,穏やかな雑談空間をつくるひと

・しどろもどろになりながらも,とつとつと自分の感動を伝えるひと

・その場の雰囲気で,なんとなく浮かんだ言葉で,旅をするように語るひと

・その作品が好きで好きでたまらない気持ちを,その熱量のまま語り出すひと

 本当に,多種多様な「個性」がどの班でも発揮されていた会であったように感じる.そして,それぞれの表現に「優劣」はない.そのそれぞれが,そのひとの「これまで」を多分に含んだ,かけがえもなく尊い表現であるように思う.
 ただし,この「個性」が発揮されるには周りにいる「聴き手」のご助力が必要不可欠ではある.しかし,「あおぞらの輪」に来てくださる方は本当に「聴き上手」な方が多い.傾聴的な態度で,共感的な態度で,あるいは多様な角度からの問いで,関連する知識や経験を語ることで.「表現」しているひとを,それぞれの在り方で,支えてくださっている.

 ある方が会の最後に,「終わったあと,皆さんが話していたことをまとめたり,話題となったことを考えることが楽しいんですよね.」と,運営者冥利に尽きることをお話してくださった方がいた.これが本当に嬉しい言葉で.

 しかしこれは,「表現者」の勇気と「聴き手」の好奇心や優しさがあるからなせることである.「聴手」の支えによって安心して「表現」できたから,生まれた「ことば」が,それぞれにとっての貴重な「お土産」となる.

「ちがいながら,いっしょにいる」

いや,

「ちがいすらも,楽しめる」

 そんな「場」の実現を,ちゃんと突き詰めてみたいと思った.

📚あおぞらの輪📚

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