第35回 活動報告
【活動報告】第35回 あおぞらの輪
今日はどんな本を紹介してくれるのだろう??
会に足繁く通ってくださるある方のポケットには,それこそ無数の魅力的な「お話」が詰まっている。多分,この方に会わなければ見ることすらなかった本や思い至ることのなかった考えたちが,次から次へと出てくる出てくる。感動はすでに通り過ぎ,毎回呆れるしかない。
彼の話を聞いていると,本を読み続けたらいつかこの域にいけるのかな…と思ってしまう。自分の読書のモチベになっているおひとりである。(今年私は,これまでに紹介された「島田荘司」「寺山修司」「安部公房」を読み込むことを目標にしている。)今回は,彼が熱をこめて紹介した1冊の本を紹介していきたい。
📚️ピーター・S・ビーグル 金原瑞人訳「完全版 最期のユニコーン」
【本の概要 AmazonHPより】
たんぽぽの綿毛のように柔らかなたてがみと貝殻色に光る角を持った、この世で最も美しい生き物、ユニコーン。そのかれらがいつのまにか世界中から姿を消してしまっていた。ライラックの森にひとり残された最後のユニコーンは、蝶が残していった「赤い牡牛」の言葉を手がかりに消えた仲間を求めて旅に出る――水晶のような感性とリリカルな文体が紡ぎだすモダン・ファンタジイの最高傑作。
【読書の輪での紹介より】
御本人にとって,この作品は心に余裕がないとなかなか手をつけられないらしく,はじめて読んだ大学時代から次にこのシリーズに触れるまで,大分時期が空いてしまったらしい。なんと「3日前」に,「今だ!」と思うタイミングが来たらしく,読み始めた勢いそのまま,一気に読んでしまったようだ。
読み応えのある作品は,世界観から幾重にも織り込まれた意図や価値観があり,作品の文面(表層)をさらっただけでは気付きもしないような,「深さ」をもっている。↑の作品も,そういう類の本で,作者は何度も何度も推敲を重ね,作り込まれたものらしい。そりゃ,読むのに心の余裕はいるよな,と思う。作者の全部をかけたもの,受け取り手も,相当な準備がいるのだろう。
ちなみにこの作品に出会ったきっかけは,学生時代に聴いた「ハープの弾き語り」をされたジョアンナという方の,ファーストアルバムの題材だったらしく,この作品を読み進める原動力は,表紙の絵(おそらく宗教的な意味も織り込まれている)らしい。本当に,何を言っているのか分からない笑。
「自分がこの世界でどういう存在なのだろうか?」
遠く昔,幻の存在として生きてきたユニコーンたちは,少しずつ数を減らし,主人公となるユニコーンはとうとう孤独になってしまう。昔はその存在を祝福さえしていた人間たちからは,「ただの馬」として見なされてしまうことになる。その後,ある魔術師によって,人間にとって「幻の存在」に見えるような魔法をかけてもらったり。自分の仲間が「赤い牡牛」に襲われていたこと知り,仲間を探す手がかりを得るために,「赤い牡牛」を探しにいったり。果ては永遠の命を持っていたユニコーンが,その立場を捨て,有限の命を持つ人間に生まれ変わったりすることになる。
この物語に通底する↑の問いは,現代の私たちにとっても他人事ではけしてない。この問いの向き合い方はひとそれぞれだとしても,多くのひとがその人生のどこかでは向き合う問いであるように思う。
なるほど,受け取り手に「心の余裕」が必要なわけだ。私がこの本を開くのは,まだまだ先になりそうだ笑。
⭐️最後に
「学び続ける」と考えると途端にハードルが上がるが,彼の場合は「学んでいる」という意識すらない気がする。ただただ面白いものを漁るように読んでいた先に「今」があるような。成長しよう、発展しようとは無縁の意識で,夢中で遊んでいたら辿り着いてしまった,くらいの気持ちなのだろう。
案外「生涯学習」と銘打つ何かの本質は,「ただただ楽しむ」ことの先にあるのかもしれない。
📚あおぞらの学び舎📚
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