第29回 活動報告

あおぞらの輪
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【活動報告】第29回 あおぞらの輪

 ただただ広い和室で、5人という贅沢さ。掃除のおばちゃんが「素敵な活動してるのねぇ✨」なんて笑いかけてくれながら、準備を進めていると、ちらほらと参加者が集まる。
 今回は、読書会が大分熱く🔥、5人全員で時間をたっぷりとって、持ち寄った本の魅力を語り尽くした。以下、紹介である。

①マイケル・サンデル「実力も運のうち 実力主義は正義か?」鬼澤忍訳

 頭空にして聞きたいんで、先話してもいいですか…?と話すのは、「まっすぐ」という言葉が似合うAさん。彼は、学んでいることと生きることが深く結びついていて、毎回内容がわかりにくい本も、圧倒的な言語化能力で、分かりやすく説明される。とにかく、整然とした論理が、すらすらと頭に入ってゆく。

 「正義」について話をしてくれた、あのサンデルが、今度は「実力主義」に切り込んでいる。勝者と敗者が明確に分かれてしまう世の中で、勝者は「この成果は、すべて自分の力のおかげだ!」と声を高らかにし、敗者は「今の結果は、すべて自分の責任だよ」と蔑む目線にさらされる。すべては「実力」、「自己責任」だというけれど、それは果たして本当なのか?

②青山美智子「お探しものは図書室まで」

 サークルブックの評判をみて、前々からこの会に興味を持ってくれたBさん。最近では、これまでなかなかできていなかったあれこれに挑戦しているそうで…。この学習会にも、勇気を出して参加してくれた次第である。
 紹介は実に堂々とされていて、この本の魅力を伝えたい…という思いが、ところどころ言葉に詰まる部分に現れる。生きた言葉との邂逅に、少し嬉しくなる。

 ある図書室には、様々な方が今日も本を借りに来る。本を借りる理由も様々で。ぼそっと悩みをもらす言葉を、ふくよかで(少し暗め)な司書さんは聞き逃さない。
 例えば、とりわけやりたい仕事についたわけじゃないけど、社内では仕事の技術を求められる。あまり気が進まないけど、「エクセル」関係の入門書を借りに来る。すると司書さんは、そんなボヤキを聞いて、「ぐりとぐら」の絵本もついでに彼女に渡す。
 進められた本を開いてみた彼女は、少しずつ前向きな行動を起こしていくことになる。

③永井玲衣「水の中の哲学者たち」/鷲田清一「『聴く』ことの力」

 ↑の司書さんの「聴く」というキーワードがあったので、続けて紹介をさせていただく。それこそ、実際に「聴く」という行為そのものと向き合い続けてきたおふたりの本を紹介する。
 最近は、あらかじめ紹介の内容を決めず、自分から偶然出てくる言葉たちの力を信じて、ライブ感での「即興」紹介の形をとるようにしている。今日来ているメンバーに、どんな言葉だったら伝わるか?今の自分は、この本の何を強く紹介したいのか?を頭フル回転させながらの即興紹介。
 まだまだ稚拙だけど、これがまたとんでもなく楽しい。とにかくひたすらインプットしている生活のおかげで、まあ自分でも驚くような言葉がすらすらと出てくるのには、本当に興奮を覚える。今日、この場でしかできない、本紹介を目指すぜ。

④D.J.サリンジャー「Chacher in the Rye」村上春樹訳

 ゆったりと落ち着いた口調で語りかけるように話し出すCさん。全員が彼の言葉を聞き入り、次の言葉を静かに待つ。安心感を与えるひとってこういうひとをいうんだろうなぁ、なんて考えたりしながら、ゆるやかな「間」を含んだ、静謐な時間を楽しんでいく。

 映画「天気の子」のなかに出てきた作品で、気になって読んでみたそう。16歳の青年の、3日間に渡る逃亡劇。子どもから卒業したけど、まだ大人になりきれない、「青年」の瑞々しさと痛み。特に「痛み」に関する紹介がとても印象的で…。バー(?)でお酒を注文したけど、コーラを出されてしまう。女性をナンパしようとしたけど、「おうちに帰って寝てな」と相手にもされない。自分はもう大人の一員なんだ…と思っていたのに、一歩外にでたら全く通用しないやり切れなさがずっと辛い、小説でもある。

⑤ヨン・フォッセ「朝と夕」伊達朱美訳

 いつもいつも溢れるように面白い作品を紹介してくれるDさん、彼の頭のなかの本棚はきっと壮大で、めちゃくちゃ面白いんだろうな…と嫉妬を越えた尊敬を抱いてしまう。今回の本は、「図書館で予約」をしてまで借りてきたらしい。「図書館で予約」。きっと、彼と遭わなければ、一生耳にしなかっただろうな。そもそも、図書館は広くて読みきれないくらいの本なのに、そこに取り寄せるのか。まだまだ知らない知識の世界があんだろうな…とわくわくする。

 第1章は、主人公が生まれる場面。第2章は、主人公が死にゆく直前の場面で構成される、「特殊な骨組み」の物語だという。特に死の直前、いつもよりも調子の良さを感じていながら、亡くなった奥さんや知り合いがばらばらの年齢で顕然する。少しずつ、「死」を意識しだした主人公に、ある男性が触れ、すり抜け視点が急に変わる。

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