第53回 活動報告
【活動報告】第53回 あおぞらの輪
人それぞれお酒の好みがあるように.お気に入りの服のブランドが異なるように.本に感じる「面白さ」は人によって異なる.これまで「おすすめの本」「もやもやした本」の内容の紹介し合ってきたので,今回は個々の「味覚」に関する問いを投げかけてみた.好みの「面白さ」は如何なるものか.すると…
◉どんな時に「面白さ」を感じるか?
・自分が「ずっと知りたい!」と思っていたことの答えを提示されたとき.
・さらなる問いに出逢えたとき.
・言葉の定義が一文で集約されていた時.
例)「●●とは,〜である」という綺麗な定義に出逢えたとき.
・自分が持っていなかった視点をもてたとき. ・ひとつの出来事(事件)に対して,様々な視点で語られていたとき.
・自分が「当たり前」だと思っていたことにメスが入れられたとき.
・自分の生き方にリンクしていて,リアルさを感じるとき(自分の体験が呼び起こされるとき)
・丁寧な心情描写がなされているとき.
・「人間の嫌な部分」が垣間見えたとき.
・主人公と境遇が似ていて,自分の感情が載せられるとき.
・自分の想像を超えてくるとき.先の展開が読めないとき.
→ 帯に「どんでん返し!」「衝撃のラスト!」とか書かれているのは読まない.その判断はこっちに任せてほしい.
・次々と伏線回収がなされているとき.
・朧げに浮かんでいた問題意識に明確な「形」を与えてくれたとき.
たった数分のやりとりではあったが,これほど豊かな「面白さ」が存在していた.
◉さらなる問い
①皆さんは,どんなときに「面白さ」を感じるだろうか?
②もしこれらの「面白さ」をカテゴリ−分けするとしたら,どのように分けることができるだろうか?
③もし「本の面白さとは,〜である」と1文で集約するとしたら,どんな言葉が入りそうだろうか?
④「面白さ」の反対語は?
⑤本のどんな要素が,「面白さ」を創っているのか?
これほどまでに本に感じている「面白さ」が異なっているということは,本の中の文字情報への関わり方も千差万別ということである.期待していることが異なれば,関わり方も異なってくる.同じ「本を読む」という行為には,まだまだ多彩なバリエーションがありそうである.一方,それぞれの意見に頷いている参加者も多かった.「人それぞれ」とは言いつつも,どうやら「面白さ」の普遍性はありそうである.その辺を言葉にしてみるのも「面白そう」である.
掲載の許可をいただいたので、本紹介の様子を一部紹介したい.
📚️京都文学フリマの作品たち
文学を心から愛し、ご自身でも読書会を開かれているTさん.好きが高じてなんとやら.先日京都まで足を運び、「京都文学フリマ」に参列なさったらしい.自主出版の創作物たちとともに、京都に集まる猛者たちの文学熱を運んでくださった.
お持ちになったものの中で、「17人の西園寺みつこ」は印象的だった.京都芸術大の小説創作ゼミの文集らしく、16人それぞれが「西園寺みつこ」を登場させることを条件に作品を書き上げたものらしい.時に家族として、友人として、不審者として、あるいは現象として登場しているらしい.ちなみに17人目の「西園寺みつこ」の描き手は、AIである.
他にも、70万字程度で「カラマーゾフの兄弟」の続編を書いた人もおられたらしい.あの濃すぎる大作の続編を書こうとする人がいるとは.物好きの極致を垣間見た気がする.
📚️頭木弘樹 他2名「NHKラジオ深夜便 絶望名言 文庫版」
太宰治にカフカ、ドストエフスキーに芥川龍之介.今も語り継がれる絶望名人たちの「絶望名言」.本著は「明けない夜」を過ごしてきた人たちの言葉をテーマにしている.頭木弘樹さん他数名が織り成すNHKラジオの対談集である.
「私、無駄にポジティブな人ちょっと苦手で.」自嘲気味な笑みを浮かべながら、Cさんは嘆息する.確かに、世の中の絶望的な出来事に対して、無理矢理拵えたポジティブで打ち消そうとする方は何人かいらっしゃる.(私も苦手)無邪気な明るさは、「絶望」の渦中にいる人にとって助けにならないどころか、不要な傷を生んでしまうことが多くある.
「明けない夜があってもいいと思う.」とCさんはさらに加えている.
Tさんが紹介を終えたあとの余白の時間.同じグループにいらしたお二人が、「絶望」についての素直な想いを交わしていた様子が印象的だった.「絶望」がテーマの対話.ありかもしれない.
📚️木谷 百花 他2名「旅するモヤモヤ相談室」
いつも参加者の話を頷きながら聴いてくださるTさん(↑の2人とは別の方).お持ちになった本は、人の話を聴くことが好きな京都大学の学生さんが書いたインタビュー.コロナ禍で外出ができず暇を持て余していたことがきっかけで、多種多様な分野におられる教授陣の研究室に遊びに行ったことから筆が進んでいる.
本書の面白いところは、教授陣から聴いた話を自分なりに解釈・整理し、話を聴く「ついでに」ありがちな悩みに対する処方箋を創り出しているところである.悩み相談(相談者とカウンセラーの1対1)のような仰々しい感じではなく、「ついでに」というのがなんとも程よい感じがする.
世界各地を巡り現地調査を重ねてきた教授陣たちの話を、足を使って聴きにゆく.「フィールドワーク」を大切にされてきた京大の環境ならではの過ごし方.よくぞ見つけたものだ.
三者三様の本紹介.少しでも雰囲気や内容が伝わってくれたら嬉しい.







