大盛況!の『雪国』読書会

読書会アパート3号室
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過去最多の参加!

8月25日(日)、仙台駅近く「BACARO風見鶏」にて読書会を行いました。
あいにくの雨にもかかわらず、過去最高9名という大盛況!初めての方が3名も来てくれました!
それぞれの出身地や「最近良かった一冊」、「ハマっていること」などを自己紹介していただき、なごやかにスタート。


課題本は『雪国』!

さて、今回は川端康成の『雪国』!
「国境の長いトンネルを…」という書き出しが有名で、川端が日本人初のノーベル文学賞を受賞した作品。海外でも『雪国』ブームを巻き起こし中という、日本が誇る大名作です。

【本の概要】
新緑の山あいの温泉で、島村は駒子という美しい娘に出会う。駒子の肌は陶器のように白く、唇はなめらかで、三味線が上手だった。その年の暮れ、彼女に再び会うために、島村は汽車へと乗り込む。すると同じ車両にいた葉子という娘が気になり……じつは葉子と駒子の間には、ある秘密が隠されていたのだ。徹底した情景描写で日本的な「美」を結晶化させた世界的名作。ノーベル文学賞対象作品。

(Amazon作品紹介より)


さて感想タイム!

本を読んだ感想をひとりずつ話していただきました。
今回は人数が多い分、感想も豊富!
(以下、一部をご紹介!)


「色合いの表現が巧み!深縹(ふかはなだ)色ってどんな色?玉蜀黍(とうもろこし)色というのも!特に白と赤の対比が見事」
「作中に出てくる”日記”がいいはたらきをしている」
「風景描写が美しい。時系列が分かりにくかった」
「島村は人間味がない。川端が孤独な孤児性を引きずっているせいかもしれない。男女の描写がいけすかない」
「読みにくかったけど、この作品が短編として発表されていたと『解説』で知り、その区切りで読むと分かりやすくなった」
「虫の鳴き声や雨の音など、”音”の描写に注目した。場面が変わる時に音が使われている」
「島村の言う『徒労』について、みなさんの解釈を聞きたい」
「恋愛小説として読んだ。駒子が島村に惹かれるのはなぜだろう。駒子はさみしい、自我が強い、激しい女だと思った」
「駒子の生きているエネルギーと島村のエネルギー量の相性がいいんじゃないか」
「『本当に人を好きになるのは女だけ』という駒子のセリフは名言」
「『気ちがい』は70年代頃まで使われていた言葉。『恋は盲目」と言うし「気がちがうわ」というのは行男に(気が)狂うということでは?」
「『布にしろ糸にしろ、夜通し灰汁(あく)に浸しておいたのを翌(あく)る朝幾度も水で洗っては絞り上げて晒す』この一文はパンチラインだ!」
「駒子のような境遇の二十歳前後の芸者、東京から来た妻子持ちの余裕感ある悪い男(島村)にやられるのでは?適当にあしらわれると余計気になる」
「村上春樹に通じるような音楽的な美しさ、文章の美しさを感じた」
「とにかく駒子がかわいい」
「こう言わなければ生きていけない、悲しい過去を持つ駒子。島村が自分を愛してくれないことにむしろ安心感がある。この二人だからしっくり来たのでは?」
「葉子について『刑罰』という表現が二度も出てくる。どういう意味なのか」
「行男の看護をする葉子。愛と福祉をはき違えているのでは?どんな人物なのかもっと知りたい」
「文章だけで風景の美しさや温度が伝わる日本語の表現力の高さ」
「全体的に現実感がなく、夢見心地。幻想的」
「駒子と葉子の関係性が気になる。駒子と行男は心の中ではつながっていたのでは?”あつい愛情”があるのに素直になれなかったのかも」
「一人の人を深く愛しすぎると気ちがいになってしまう。駒子は葉子を突き放しているようで心配していたのかも」
「葉子は(繭蔵の二階から落ちたのは)自殺だったのでは?」
「駒子を「清潔」と何度も言うのは、”夢の世界”で理想化していた」
「表紙のこの赤い椿は、駒子をあらわしている?」
「(容体の急変した行男が呼んでいると告げに来た葉子に対して)『帰らないわよ』と言った駒子。島村が『肉体的な憎悪を感じた』ことに疑問を持った」
「主語が分からない”あいまいさ”がある。情景的にはきれいだけど、写実的というより”夢見”寄り。明確にしない文章が夢見心地感を増している」
「駒子の赤い襦袢がなまめかしい。表紙のこの赤い椿が素晴らしい」
「トンネルを抜けて国境を越えることでファンタジーの世界に入っていく」「駒子と葉子は対比せざるをえない。炎のような情熱的な駒子と静かな葉子。でも内面的には逆なのでは」
「”し瓶”を片手に駒子の三味線をまたぐ葉子。葉子は駒子をどう思っているのだろう」


などなど……。
いやー!10人いれば10通りの読み方があるというのは
本当にその通りだなあ!と感慨深い!


一人ひとりの感想から出た疑問にみんなで考える。
「葉子は自殺?事故?」と問いを投げかけて手を挙げてもらうと、半々くらい。
おそらく正解はなく、読み手にゆだねられているのでしょう、と。
ここで、川端の没後50年、つい数年前に公開されたという「雪国」の創作メモに、全く別のラストが書かれていたことが参加者のひとりから明かされて、一同衝撃!騒然となりました。


そのほか、「天の河」について、「徒労」について、「虫」の描写についてなどなど、まったく話は尽きることなく。
休憩タイムも忘れて、あっというまに後半戦!


「オススメ本」紹介タイム!

最後に、毎回お楽しみにしている時間です。
本好きな参加者のみなさんが、最近よかったものを持ち寄り、
一冊ずつ紹介してくれました!
写真集、エッセイ、話題の哲学本など、ジャンルもいろいろ!
その本がどう良かったか、熱く語る姿には、いつも胸を打たれます。
そして、どれもこれも読みたくなってしまうのです。


いつもに増して怒涛の3時間。
毎度のことながら駆け足になってしまいました。


さらに、今回は、近くの居酒屋に会場を移して、
初めての懇親会を開催。読書会には参加できなかったメンバーも加わり、
10名でにぎやかに酒杯をかたむけました!
読書会ではなかなか聞けないプライベートな話も飛び出し、おおいに盛り上がりました。
ここで酔いの勢いも借りて、壮大なる新企画が爆誕!
決戦は10月!どうなることか、ワクワクが止まりません。


9月は『破戒』!

次回は9月22日(日)読書会を開催予定。
課題本は島崎藤村の『破戒』!
読みごたえのある歴史的な名作をこの機会に読破しませんか?
ぜひご一緒しましょう!お待ちしてます!