【バイヤーのリアル】バイイング予算はどう決まる?数字と感性が交差する買付の裏側

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「バイヤーは好きな服を自由にお金を出して買える華やかな仕事」――そう思われがちですが、その裏側にあるのは極めてリアルで冷徹な「財務管理とデータ分析」の世界です。シーズンが始まる数か月前、私たちはまず各ブランドに割り当てる「OTB(Open to Buy:買付可能予算)」の策定から仕事をスタートさせます。今回は、華やかなコレクションの裏で繰り広げられる、バイイング予算の決定ロジックをお話しします。

予算策定のベースとなるのは、過去数シーズンの消化率(売上データ)、顧客の購買傾向、為替レートの変動、そして世界的な景気動向です。「どのカテゴリ(バッグ、アウター、シューズ等)が最も伸びているか」「どの価格帯が最も動きやすいか」を細かく分析し、全体の予算をブランドごと、アイテムごとに細分化していきます。どんなに個人的に感動した素晴らしいデザインであっても、予算の上限を超えて仕入れることは許されません。

しかし、数字だけに頼った買い付けは店舗を退屈なものにしてしまいます。ここで重要になるのがバイヤーとしての「直感と感性」です。予算の80%は確実に売れる定番品やマーケットの需要に合わせたアイテムに配分し、残りの20%を「次のトレンドを作るための挑戦的なアイテム(尖ったデザインや新進ブランド)」に割り当てます。この20%の攻めの仕入れが当たった瞬間こそ、店舗のブランディングが跳ね上がり、大きな利益を生む瞬間なのです。

ショールームで電卓を叩きながら、頭の中では顧客の顔と店舗のラックを思い浮かべる。ロジカルな数字の計算と、直感的な感性の間で絶妙なバランスを取り続けること。地味でタフな作業の繰り返しですが、この緻密なビジネスの積み重ねがあるからこそ、お客様に最高のラグジュアリー体験を届けることができるのです。