第59回 活動報告

ことばのアトリエ in 田村市
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【活動報告】第59回 あおぞらの輪

 最近、あおぞらの輪に新しい仲間が加わっている。この会は、興味関心や価値観の異なる参加者が来てくれることで、場が面白く、より創造的になっていく。そんなこの会にとって、勇気を出して参加してくださる方の存在は非常に有り難い。
 今回は、そんな参加者数名との対話を記述していきたい。

📚️よざひかる「仕事とスマホで終わる日々が「習いごと」で変わった話」(角川文庫)

「いつからだって始められる」

 スマホや仕事によって、知らず知らずのうちに貴重な時間を溶かしてしまう。30代になってから複数の習い事に挑戦し、自分の人生に明るい兆しを感じた著者。何時も、遅すぎることはない。緩やかな漫画調で、私たち多忙な現代人の背をそっと押してくれる。
 この本を紹介してくれたMさんは、英語にピアノ、仕事の勉強、こつこつ毎日積み重ねていらっしゃる。勤勉家、という言葉がよく似合う方である。彼の毎日の勉強の話を聴くと、今までできなかったことができるようになる喜びと「〜すること」自体から享受できる楽しさが溢れている。自分の中に内在する可能性を探究し続ける。改めて「勉強する」こと自体の喜びを大切にされているMさんの姿に心が震えた。
 ピアノを弾いているときの、部屋の中が自分の好きな音で満たされる時間がいいんですよね‥、と嬉しそうに話している。私も、同じグループで聴いていたTさんも、どこか共感できることがあるようで、静かに頷いていた。

📚️森見登美彦「宵山万華鏡」(集英社文庫)

 そんなTさんが(こういう場自体も初参加)どきどきしながら持ち込んできてくれた本は、森見登美彦さんの作品。「森見登美彦さんに育てられた」とおっしゃるくらい、彼の作品を読んできている。舞台となりがちな京都への憧れから、ひとりで旅行に行ったこともあったらしい。彼の作品は、ひと通り読んだのだとか。

●概要(wikiより)

祭りの夜に、何かが起こる。森見ファンタジーの真骨頂!
姉妹の神隠し、学生達の青春群像劇、繰り返される一日からの脱出など、祇園祭の京都を舞台に様々な事件が交錯し、全てが繋がってゆく。万華鏡のように多彩な宵山の姿を楽しめる、連作中篇集。

 各章それぞれが全く別の物語であるように見えて、最終章にてそれぞれの物語が繋がりを見せる。起こる出来事はファンタジーな事件であるのに、読者はどこか現実として受け入れてしまう。読んでいる、というよりはむしろ「見ている」「聴いている」という感覚に近い。好きで読んできたからこそ、語ることができる魅力がある。‥あぁ、本当に好きなんだなぁ‥と、思わせるTさんの言葉の語り口に、なんだか聴き入ってしまった。
 繋がっていないようで、実は繋がっている。森見さんの作品から抽出された気づきで、現実世界を眺める取り組みも非常に興味深かった。私たちの日常の中にも、繋がっていないように見えて繋がっているもの、今は繋がっていないけど、いづれ繋がるものがあるかもしれない。

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 会終了後、今度はラジオを聴いて参加を決めてくださったPさんと、小さな感想交流を行った。会の最中、あるいは会終了後の感情がどのように動いていたのか。得た(あるいは得てしまった)頭の中の刺激や悩みとどのように向き合っていけばよいのか。
 対話の場では、(特に初めて来てくれた人にとっては)衝撃を受ける方が多い。こんな風に頭を使ったことはなかった、とお話される。対話自体は大昔から存在していたし、日常の会話の中でだって実現可能なコミュニケーションの在り方だと思うのだが、私たちは気付かぬうちに、会話に内在する知的な交流の可能性に見切りをつけてしまっているらしい。
 衝撃を受け過ぎてしまったPさんには悪いことをしてしまった。しかしそんなPさんとの対話から、まだまだ人間には普段使っていない頭や心の使いどころがあるような気がしている。

📚あおぞらの輪📚

#対話 #思考 #関係 #場 #物語